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歴史的建造物の中でゆったりと過ぎる時間。 そして、懐かしく優しく響くオルゴールの音色…。 小樽で暮らし、小樽を愛する私たちスタッフ。 みんながひとつに溶け合って、小樽の温もりを伝えたい。 それが「オルゴール堂®海鳴楼」の願いです。 |
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海鳴楼本店 : 小樽市堺町1-20 TEL 0134-23-6505
海鳴楼グランドパーク小樽店 : 小樽市築港11-3
グランドパーク小樽2F
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これまでのオルゴールは工場で作られた曲の機械部分をぬいぐるみなどの人形や宝石箱などに組み込んだものばかりでした。お気に入りの人形のオルゴールがあっても曲が好みではなかったり、その逆で、欲しい曲があってもそれを入れる人形や箱が気に入らなかったり…。 そこで、海鳴楼は世界に先駆け、好きな曲を選び、それをお気に入りのボックスなどに取り付けるという販売システムを確立しました。それが組合せオルゴールです。現在、オルゴールのメカの部分はほとんどが「海鳴楼オリジナルメカ」で高音質を提供しています。 さらに、それに自分のセンスで絵を描いたり、小物を飾りつけたりして、世界にたったひとつのオルゴールを作る手作り工房を併設しました。そこで作られるのが自作オルゴールです。 曲を選べるといっても、古今東西のスタンダードから最新ヒットまですべてを網羅するわけにはいきません。工場で型から作られるオルゴールはまとめて数百個単位で生産されるため、その曲が売り切れても1個だけ作るということができませんでした。1個ではとても高価なものになるからです。 その点を解決するため海鳴楼が次に考えたのが、オルゴールになっていない曲(既製品の中にはない思い出の曲や、校歌、自作曲など)を1個から、しかも格安で作る方法です。そうして作り出したのが、小型でかつコンピュータ制御で行うシリンダーオルゴール制作機です。これによって工場ではなく店頭で、そしてオルゴールの職人でなくても簡単にかつ格安で、注文オルゴールを作れるようになりました。このシリンダーオルゴール制作機は特許を取得しています。 もちろん、従来からあるからくり人形オルゴールなどさまざまな商品も豊富に取りそろえています。 |
貴重な思い出をいつまでも残しておきたい。 大切な方に自分の気持ちを伝えたい…。 そんな“伝える気持ち”を「オルゴール堂®海鳴楼」は大切にします。 「自作オルゴール」や「メッセージ・愛のテディベア」、 お好きな曲を1台から作れる「注文オルゴール」などを通して あなたの伝える気持ちを応援します。 |
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海鳴楼であなただけの自作オルゴールを作りませんか? 「本店」「オルゴールラボ海鳴楼」「海鳴楼グランドパーク小樽店」 どの店舗でも簡単に作れます。 |
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手作りオルゴール工房では、旅行の思い出に、大切な方への贈り物に、世界でただひとつのオリジナルオルゴール=「自作オルゴール」を作ることが出来ます。 お好きな形のオルゴールと木やガラスなどの小物を組み合わせたり、絵の具で色を付けることで、その場で簡単に完成します。 曲も約400曲あり、組み合わせるパーツも豊富に揃えておりますので、ひとりひとり全く違ったオリジナルオルゴールを作れます。 |
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9:00〜21:00 (冬期9:00〜19:00) ※時間外でも、事前にご相談いただければ対応できる場合もあります。 |
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簡単なものであれば、制作には20分程度で出来ますが、選ぶのに時間がかかるので1時間〜1時間半(人数が多い時は1時間半〜2時間)ほど見込んでいただけると、余裕をもって作れます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【1】オルゴールを選ぶ 【オルゴール曲目リストはこちら】 プレス式ぜんまいオルゴール18弁 曲目リスト |
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【2】オルゴールに組み合わせるボックス、ケース、板や飾りを選ぶ オーナメント次第で、自分の思い通りのイメージを創り出せます。 |
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【3】お会計 【4】制作 【5】完成 |
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材料費
1000円くらいから作ることができますが、1500円〜2000円が平均です。目安としてお考えください。 |
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1名様〜40人様 40人を超える場合は別会場をご用意することもできます。または、ホテルなどの宿泊先への出張工房も可能です。 |
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個人精算、現金一括、振込等 団体一括払いの場合、一人分の予算を超えた分だけ個人精算も可能です。 |
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団体でのご予約・ご質問は、工房お申し込みフォームで承ります。 少人数のお客様は申し込みの必要はありませんので、直接ご来店ください。 |
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18弁〜50弁(音を鳴らす櫛歯の本数)の中からお選びいただけます。櫛歯はピアノの鍵盤のようなもので、本数が多くなると音域がその分広くなり、表現が豊かになります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
注文オルゴールを作る時に知っておいていただきたいこと
オルゴールはドラムに埋め込まれたピンが櫛歯を弾いて音を鳴らします。そのためいくつかの制約があります。どんな曲でもオルゴールにできるわけではありません。 ■オルゴールに向いていない曲 ・長音の多い曲 ・同音が続く曲 ・旋律について ・リズムについて ・和音について |
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オルゴールをボックスに入れる理由 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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オルゴールは、シリンダーが回転し、そこに埋め込まれたピンが櫛歯を弾いて音を鳴らします。ピアノ線の細さでわずか1ミリ程度の突起のピンが弾いて出す音はとても小さく、耳を近づけても聴き取るのがやっとです。 オルゴールをボックスに入れると、音が共鳴して増幅され、はっきり聞こえるようになります。つまり、ボックスはスピーカーの役割を果たしているのです。 ボックスの素材は、紙、プラスチック、木材、陶器、ガラス、金属などさまざまですが、一般的に、軟らかい材質のものは柔らかい音が、硬い素材のものはきらびやかな音がすると言われています。 |
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注文オルゴール価格表(税抜価格) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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お支払い方法:現金書留、口座振込 ※お支払いただいてからの作成になります。 |
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オルゴールの歴史 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
簡易版 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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詳細版(オルゴール研究家・松本和男) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
オルゴールの誕生 オルゴールは1796年にスイスのジュネーヴに住む時計師、アントワーヌ・ファーブルによって発明されました。当初はポケットウォッチに組み込むためのごく小さな機械でした。 当時(18世紀)はマリー・アントワネットをはじめとする貴族の間で珍しい時計が珍重され、そのひとつに音楽入り時計がありました。音楽入り時計というのは、ホールやマントルピースの上などに置く大きな時計の中に、ベルやオルガンを音源にした自動演奏装置を組み込んだものでした。それが、やがて掌に乗るような小さな時計にも「音楽入り」が求められるようになりました。 しかし、小さな時計にベルやオルガンを入れることなどもちろん無理なことで、ごくごく小さなベルを組み込んだものが時報を告げる程度のもので、「音楽」とはなりえませんでした。そこでファーブルが考え出したのが、音階を持った何枚かの鉄の板を弾いて音を鳴らす方法です。 もちろん、ここに至るまでは多くの試行錯誤があったはずです。鉄を弾いて聴くに堪えうる音色を出すのは現在でも容易ではなく、ましてや18世紀のことですから、多くの時計師たちがさまざまな工夫を凝らしたどり着いたものだったでしょう。
オルゴールの改良 この小さな機械(オルゴール)は懐中時計ばかりではなく、ブローチやペンダントトップ、ピルケースなど身近な小物にも取り付けられるようになり、貴族たちの自慢の持ち物となっていきました。これを改良したのが、同じスイスの時計師、フランソワ・ルクルトでした。誕生期のオルゴールは形も小さく音階も少ないものでした。ルクルトはこれを大型化することで、音も大きくなり、演奏も向上するのではないだろうか? 演奏者なしでも音楽を楽しめる自動再生機械になるのではないだろうか? と発想したのです。 こうしてルクルトが改良し実用化したのがワンピース・コームでした。1枚の鉄の板に刻みを入れ調律した櫛歯が生まれたのです。それまでは1音1音の鉄片をネジ止めしていたのですが、それは歯ではあっても、櫛ではありませんでした。このワンピース・コームによって音源の部分の製造が容易になったのです。 次にできるだけ雑音を消すためのダンパーの採用と、調律のためと低音を豊かにするための鉛の重りの採用でした。ルクルトが1810年代に改良実用化したこれらは現在のオルゴールにも受け継がれています。
音楽メディアとしてのオルゴール ルクルトの改良によりオルゴールは時計技術から分離して音楽メディアの道を歩むようになりました。主な生産地はスイスのジュラ地方で、ここには今日でもオルゴール関係の会社やクラフト工房などが存在しています。 スイスのメーカーはパリやロンドンなどに代理店をおき、ジュラで生産されたオルゴールを販売しましたが、それらはすべて受注生産でした。つまりユーザーが聴きたい楽曲や演奏タイプを指定し、それからメーカーが製造にとりかかったのです。当時はレコードやCD、ラジオなどのメディアがなく、ヒット曲が生まれにくい状況でした。だから、いつも聴いていたい曲はユーザーによってまちまちで、高価なオルゴールにはそれだけパーソナルな要素が求められたからです。
オルゴールのマーケット(19世紀) 1830年〜1880年のオルゴールの大きなマーケットはフランス、イギリス、ドイツ、アメリカなどでした。1789年のフランス革命の後、時代は着実に貴族のものから市民のものへと移行し、オルゴールのユーザーも貴族から市民へと移り変わっていきました。 1870年代まで1台のオルゴールはひとりのユーザーのために存在し、その後もさらに豪華で高級なものとして受け継がれていきましたが、同時にレディメード(既製品)が出現しました。これはメーカーがオルゴールのマーケットを広げさらにコストダウンを目論んだ結果ですが、時代が音楽メディアとしてのオルゴールを求めており、そしてその要求に応えるためには、同じものをたくさん製造するのが効果的だったからです。 こうしたレディメードのオルゴールは開国間もない日本にも入ってきました。楽曲もタイプもまったく同じもので、現在も豪商屋敷に保存されていたりします。 |
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オルゴール現代史 日本の台頭 1920年代に音楽メディアとしての役割を終えたオルゴールですが、その後も製造は続けられました。ただし最盛期の大型機種としてではなく先祖返りしたかのように小さくなり、宝石箱や人形、生活などの道具に彩りを添えるもの、またスイスのお土産品として細々と製造されるようになったのです。
スイスの凋落と高級品志向 日本の台頭は優れた技術を持っていながらも牧歌的な製造を続けていたスイスのメーカーに大きな打撃を与えることになりました。それでも1970年代まではヨーロッパの高級玩具などにはスイス製のムーブメントが使われていました。しかし、1980年代になるとそれらの高級玩具にさえも日本製のムーブメントが使われるようになり、スイスの玩具系オルゴールは苦境に立たされました。 そのためスイスにあった数社のメーカーは1社に集約され、そして伝統の技術を活かした高級オルゴールの製造に力を注ぐようになったのです。それまでも高級オルゴールの分野に関してはスイスの独壇場だったので、これをさらに充実させる戦略を取ったのです。
日本でのオルゴール・ブーム(小樽からの発信) 1980年代後半それまでのオルゴールのマーケットを一変させるような出来事が日本で起こりました。北海道小樽市に世界初の大型オルゴール店が開店したのです。この開店以前にも日本では1980年代初頭にいくつかのオルゴールの動きがありました。
オルゴール製造の現在(中国の台頭) 1990年代にはオルゴール(特にムーブメント)の需要が高まり、日本のメーカーは年産1億台を記録、そして実に世界のシェアの90%を占めるようになりました。それでもなお需要に追い付かないという状況でした。 これを補うため中国が製造を始めました。オルゴールのケースは香港、台湾、中国でも作られていましたが、ついにムーブメントの製造に乗り出したのです。当初は品質は高くなく音色もよくありませんでしたが、近年著しく改善されレベルの高いものになっています。現に中国のメーカーはスイス・オルゴールのOEM生産も始めています。 日本では完全な自動化が進み、オルゴール・ムーブメントに対して人が介入する部分がなくなってきています。それだけオルゴールに関する技術が後退していくということも言えるのです。中国では機械より人手でオルゴールが作られているので、丁寧で品質の高いオルゴールを目指したときに人の技術がいかされてくるのではないでしょうか。 |
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オルゴール堂®海鳴楼の歩み | ||
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オルゴール堂®海鳴楼
塚原ふさ子 |
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1988年、日本初・日本最大のオルゴール専門店の構想・企画作りに着手。 1989年、「小樽オルゴール堂」開店。店舗設営、広告、仕入れ、販売等の一切を取り仕切る。 1990年、「オルゴール海鳴楼」を開店。 以来、オルゴール文化を小樽から発信し続けている。 |
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私たちが小樽でオルゴール屋さんを始めようと思ったのは、プレゼントでいただいたひとつの小さなオルゴールがきっかけでした。その時聴いたオルゴールのどこか懐かしさを感じさせる音色が、レトロな街並みが残る小樽に合うと思ったからです。
オルゴールは、生演奏を聴くしか音楽を楽しめなかった19世紀当時、はじめて音楽を再生できる機械として誕生。広く世界中に受け入れられ発展しました。ところがエジソンの蓄音機の発明によってその座を奪われ、20世紀初めにあっという間に衰退。以降、玩具という位置づけのなかで細々と生きながらえてきました。 一方、小樽は…。明治時代、開拓使が札幌に置かれ、その玄関口として小樽は発展しました。1880年(明治13年)には日本で3番目の鉄道が敷設され、石炭を中心に北海道産の物資が小樽に集まり、小樽港から道外に運ばれました。また、鰊漁も活況を呈し、小樽の経済は札幌をも凌ぐと言われていました。国内のみならず外国貿易の拠点としての役割も担っていました。 オルゴールと同時代に脚光を浴び、発展を遂げた小樽。外国貿易港として勇躍世界に羽ばたいていた頃、おそらくオルゴールも海をわたって小樽にたどりついたことでしょう。遠く海の向こうからきたオルゴールの音色。それはかなたから響いてくる海鳴りにも似て人々の心の琴線をかき鳴らすものだったでしょう。 こうして見てみると、オルゴールと小樽の歴史は奇しくも重なりあうじゃありませんか。そこで、私たちは小樽とオルゴールを結びつけ、小樽からオルゴールの持つ温かみを伝えようと思ったのです。 小樽が観光地として脚光を再び浴びるのと同時に、オルゴールにもスポットライトが当たるよう、祈りを込めて…。 1988年、私たちはオルゴールに似つかわしい建物を探しました。そこは家具屋兼倉庫でしたが、1912年(明治45年)築のレトロという言葉がぴったりの300坪の大きな建物でした。 今や、玩具売場の片隅でひっそり売られているだけのオルゴール。それを大きな倉庫いっぱい、すべてオルゴールの店にしようという私たちの計画。誰しも二の足を踏みそうな計画ですが、その建物のオーナーは私たちに賛同してくれました。資金はオーナーが持つけれど、私たちが企画・運営の一切を取り仕切りるということで話がまとまりました。(バブル絶頂期ならではの話ですね) こうして1989年、世界初、世界最大のオルゴール専門店「小樽オルゴール堂」は誕生しました。話題性もあってマスメディアに取り上げられ全国からたくさんの観光客が押し寄せました。 オルゴールは売れる! とばかりにすぐに日本各地の観光地でオルゴール店ができました。その時、それに対して私たちは違和感を感じていました。 オルゴールの音色には癒しの効果があると言われています。古き良き時代を偲ばせるいかにもアナログなその響き。それは小樽だからこそ似合うのだと思うのです。オルゴールは音楽を聴くもの。それぞれの曲には聴く人それぞれの思いが詰まっています。オルゴールをプレゼントする時、人はその曲にその人の思いを込めて贈ります。私たちは、そんな伝える気持ちを大切に、そしてそれをオルゴールの音に託して小樽から発信していきたいのです。歴史や技術などを含めた「オルゴール文化」を継承し、伝えていきたいのです。 オルゴールがどこにでもある土産物になってしまうのを寂しい気持ちで見ていました。このままでは、オルゴールはブームとして消費されたあと再び無くなってしまう! そんな危機感さえ感じていました。 1990年、私たちはオルゴールへの思いを具現化するため自前の店を作ることにしました。それが「オルゴール堂®海鳴楼」です。ここで私たちはオルゴールのいろいろなことをスタートしました。 その頃はまだぬいぐるみの人形や意匠を凝らしたケースに入れられたオルゴールが主流でした。人形やケースのデザインが気にっても曲が好みでなかった場合、曲を取り替えることができませんでした。工場で作られたお仕着せの組み込みオルゴールではお客様のニーズに応えることはできません。 組合せオルゴールを通して、お客様のオルゴールへの思いの強さを実感しました。曲に対してもケースに対しても、さまざまな要望が出てきました。「○○の曲をオルゴールで聴きたい」「もっと○○なケースがほしい」等々。 この要望が次のステップにつながりました。 ケースに対する要望を形にしたのが「オルゴール手作り工房」です。自分の好きなケースを自分でデザインして作るようにしたのです。 オルゴールは円筒形のシリンダーに突起をつけ、その突起が鋼鉄で作られ音階順に並んだ櫛歯を弾いて音を奏でます。その音はとても小さく耳に近づけなければ聴き取ることができないほど。それを共鳴によって音を大きくするのがケースの役目です。ですから、ケースといっても箱状のものでなくても板状のものであってもかまいません。素材も、木、ガラス、プラスチック、アクリル、紙、金属等さまざまあります。 曲に対する要望は「注文オルゴール」を生み出しました。 組合せオルゴールで徐々に店頭での曲数を増やしてきましたが、そこには問題点もありました。オルゴールを作るには、オルゴール用に編曲し(オルゴールには機械的な制約があるため)それを型に起こして工場である程度まとまった個数を大量生産します。ですから、既製品でメーカーに在庫があればその曲を取り寄せられますが、売り切れてしまったものや、オルゴールにされていない曲(型に起こされていない曲)を発注しようとすると、費用と時間が膨大にかかってしまいます。最小ロット数を抑えてもらい(といっても100個単位)お客様のニーズに応えようとしてきましたが、限界はあります。まして1台だけの注文に応えようとすると何十万円もかかってしまうのが実情でした。 「ふたりの思い出の曲をオルゴールにして残しておきたい」「自作の曲をオルゴールにしたい」「退職する先輩に好きだった曲をオルゴールしてプレゼントしたい」「廃校となる学校の校歌をオルゴールにして在校生やOBに渡したい」…。なんとかお客様のリクエストに応えられないだろうか? 工場では大量生産しかできない。それなら1台でも簡単に作れる機械を自前で作ってしまおう! このコンピュータ時代、オルゴールくらいのメカなら作れるんじゃない? 機械オンチの私たち素人だからこその無謀な発想で「注文オルゴール」の企画はいともたやすくスタートしました。2003年のことです。オルゴールのメカに詳しい人、コンピュータ制御に詳しい人…いろいろな人の協力を得て着手しましたが、またしても難題が…。日本の工場から「オルゴールの部品を卸すことはできない」と断られ、部品供給の道が途絶えてしまったのです。それなら中国の工場は? 当時すでに中国のある工場がオルゴール生産では世界のトップに躍り出ていて、スイスの高級オルゴールのOEM生産を行うほど品質でも優れていました。当たって砕けるつもりでお伺いを立ててみると、私たちは砕けることなく優しく包んでもらうことができました。しかも、スイスの高級オルゴールと同質の部材が手に入ることになったのです。 こうして1台からお客様の要望に応える「注文オルゴール」の仕組みができあがりました。 さらに、工場で型を起こして作るシリンダーでは突起が丸い出っ張りでしたが、1本1本細い針をシリンダーに打ち込む「注文オルゴール」方式による「海鳴楼オリジナルメカ」を開発し、音質の向上を図ることもできました。 少しずつですが、オルゴールを通して私たちの思うことを形にすることができたような気がします。 |
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